昨日と今日行われた、東京都大会を見に東京芸術劇場中ホールまで足を運んできました。とは言っても、実際に見た学校は2校だけで、あとは講評ぐらいしか見てないんですが...。プロの有名な劇団も使っているこのようなホールで公演できて、東京の高校生がちょっとうらやましくなりました。
さて、肝心の上演は2つしか見ずに、審査員による講評だけ2時間も聞いてきたわけですが、そこでちょっと思ったことがありました。今回のこの大会の審査員講評は、なぜか稀に見る長時間に渡って行われ(おかげで閉演がたぶん21:30を過ぎるという裏方泣かせ...)、密度の濃い意見が繰り広げられていたと思います。
その講評の中には、舞台美術や照明に関する意見もいくつかありました。「講評」というよりも「だめだし」のようなものもありましたけど...。
さて、そんな照明に関する講評の多くは、「○○の明かりがこうだったから、△△に直したほうが良くないか?」というものだったと記憶しています。このようなプロの演劇人からの指摘は、高校生たちにとってたいへん参考になる有意義なことだと思います。ですが、この講評を完全に鵜呑みにしてはいけない、ということもしっかり意識しなければなりません。私のようなOBだとか、長年経験を積んできた顧問だとかは、その審査員の意見さえ一個人の一つの意見であると理解していますが、現役高校生はとかくその意見を深く信じてしまいがちです。(信じてしまいがちというより、例えばその審査員とは違う意見を抱いたとき、あまりに審査員に対する過信が強すぎて、審査員への反感を必要以上に抱いてしまいがちになったりしてしまうのではないでしょうか。)
照明に関する「○○を△△にした方が良い」という意見も、ある側面から観ればその通りなのでしょう。しかし、違う側面から見たら、「○○は○○のままで、逆に役者の動きを何か変えてみたらどうか」という、同じことでも違った視点からの意見も言えるでしょう。照明家の視点では、照明で難点を解決することをまず考えますが、演劇は他の部分からも組み合わされて出来上がっているのです。各パートが平等の立場で芝居を作れる高校の演劇部だからこそ、こういった視点は大切だと思います。
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