続きまして、全国大会2日目レビュー。
2014/7/29、茨城県ひたちなか市のひたちなか文化会館大ホールにて。
●愛媛県立松山東高等学校「夕暮れに子犬を拾う」
安定した明かりでした。舞台装置として木を持ち込んでいましたが、ひそかにサスから木葉模様のネタを仕込んだソースフォーを当てていたりして、細かな工夫も見られました。
惜しむらくは場面転換時のフェーダー操作です。クロスフェーダーをセオリー通りに動かしていただけだとは思うのですが、シーンAからシーンBにクロスする際、両シーンともホリゾントが同色だったとすると、クロスするときに一瞬ホリゾントの光量が50%に下がってしまうのですね。ホリゾントという目立つ箇所だけに、芝居を照明が分断してしまいかねません。このあたりにも気を使ってほしいものです。
●香川県立観音寺第一高等学校「問題の無い私たち」
劇場の奥行きをしっかりと使った演技をしており、空間を自分たちのものにできていた観音寺第一高校。最初は3サスまでしっかりと明かりをつけていましたが、奥をあまり使わなくなったシーンからは3サスを落としてツラ中心に演技をしていたように記憶しています。
一人台詞の際の単サスの使い方などはもう少し工夫をしてあげると良いでしょう。きっかけの数は増えてしまいますが、使わない単サスは消してあげる、というようにして、客の視線をちゃんと集めたい場所に集めるような工夫があると良いと思います。
ラストシーンではホリゾント幕に対して平凸の灯体を向けてサーチをつくっていました。ホリゾントの色を替えるだけではなく、サーチでチェイス風にするのは考えられていますね。降らしものに対してはしっかりSSからねらっていました。
●山梨県立甲府南高等学校「マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー」
暗めの舞台で顔が取りづらいのが気になりましたが、そもそもこのような大劇場での上演とは一線を画す作りだったように思います。この光量でも、ハコが違ったらまた随分見え方が変わるんだろうなと思いました。
「真夜中」だけあってあまり明るくするわけにもいかないのだと察しましたが、おもしろいところは地明かりでしょう。ナマ明かりを弱めに入れるという手法ではなく、ブルーの地明かりにアンバーの地明かりを足して、それを全体の地明かりにするという凝った方法で作っていました。ブルーとアンバーを足せばナマの代用も利きますからね。
SSも色温度を上げるコンバージョンフィルターを入れていたようで、世界観をうまく作れていたと思います。
●北海道大麻高等学校「教室裁判」
教室のセットで、アクティングエリアに対してきれいに明かりがとれていたところに感心しました。下手ツラ側でかなり前のめり気味に演技するシーンなどがあったのですが、ともすれば明かりがあたりづらいところをちゃんとフロントの明かりで抑えていて好感です。きっと役者も明かりのあるところで演技をしようと意識しているのではないかと思います。
具象舞台なので大きく明かりを変化させるシーンは無いのですが、時間経過に従ってだんだんと夕焼けをつくっていく手法はお見事でした。ホリゾントをブルーからだんだんとアンバーに変えていき、単サスもパネルをねらって光の方向を印象付けるようにし、フロントも下手をアンバー、上手をナマというふうに変化をつけ、極めつけはSSでおそらくソースフォーを下手からきれいなタッチで入れていました。反対に上手からもその対照となるようにアンバーを弱めにいれて違和感ないように工夫をしていました。
●茨城県立水海道第一高等学校「お好みぃにけ?しょん」
水海道第一高校も、前明かりがない状態で芝居を続けており顔が見えづらいという残念な印象でした。途中のシーンではフロントからアンバーを入れている場面もあり、決して前明かりを軽視しているわけではないと思うのですが。
上手の花道でピンスポを使っていたのですが、せっかくのピンなのに顔が切れていたのは残念でした。ピンスポの明かりは、役者の手足にあたらなくても顔だけは何としてでも当たるようにしましょう。
というわけで全国大会関係者の皆さんおつかれさまでした!
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