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2018年8月 9日
全国大会観照記 長野大会三日目

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つづいて全国大会三日目です。

■長野県松本美須々ヶ丘高等学校「M夫人の回想」

勢いあまって3連投ツイートしてしまいましたが、客席も騒然とするほどの技術力の高さでした。部員が超少ないという事前情報だったのにまさかこんなに力を持っているとは驚きです。
まず幕が開いた瞬間から、舞台装置の出来が違うことがよくわかります。上手にイントレ、パネルや台も精巧なつくりで、よく見ると(裏方視点的には)これは仕掛けだなというのが予測できるものたちがありました。布で連結している部分があり、なんだこれはと思っていたら、後半それが仕掛けの伏線だったことがわかるという塩梅です。
音響もしっかりしていました。マックを持ち込んでPC操作していたようです。例えばスピーカーも、作品の展開にあわせて、プロセニアムスピーカーから音を出す場合もあれば、舞台奥から出すこともあれば、上手だけから出すこともあれば、奥から出しつつ段々プロセニアムからも出すなんていう芸当もしていました。
そして照明ですが、シーンごとに細かく細かく微妙に色味を変えて明かりづくりをしていました。一部だけを照らす、という分かりやすい照明の使い方もしていましたが、それはあくまで一部にすぎず、じつは舞台全体を明るくしながら、それでも舞台の雰囲気をシーンごとにつくりだして同じようで同じではない全体的な明かりの作り方がすごいなぁと感心しました。例えば前半、説明台詞的な独白シーンでは#B系のコンバージョンフィルターのフロントやライトブルーのナナメのサスを使って白っぽい地明かりにし、ストーリー部分に入るとナマ明かりに切り替えていき、後半おどろおどろしくなっていくとアンバー気味になる、という形です。上手です。
これ以外にもビデオカメラで撮影しながらそれをそのまま舞台に投影したり、プロジェクションマッピング的なことをしたり、これらは大人がつくる演劇でもたまに見かけるような手法ですが、綿密に計算して実現しちゃうところがすごいですね。基本的な技術だけでなく、はやりの方法まで含め、相当舞台を知っている方がいるんだろうなという印象です。

■千葉県立松戸高等学校「Time After Time」

特徴的なのは持ち込みのLEDパー(?)ですね。上手、下手それぞれの袖にころがしていました。ただ、光は舞台装置にもろに被りますし、フォーカスが広いタイプの機材だったのでかなりべたっと明かりが広がっていた印象があります。ブラックラップなどで、せめてホリにはかからないようにとか、嫌うと良いかと思います。ちなみに今回の大会でLED機材を盛り込んだのは松戸高校だけではないかと思います。おそらくサントミューゼはホリゾントがLED仕様で超明るいので、多少LED持ち込んでも光量負けますね。
教室セットのときに下手にあった窓から差し込む光は、平凸のSSで表現していました。シンプルですが窓とSSだけで表現できる良い手法です。
妄想卒業式シーンでは、トップサスの地明かりを使わず、前あかりと弱めのホリだけで作っていましたが、前明かりが通常のシーリングの明かりではなかった気がします。3階席のバトンのところからな気がしましたが、よく見えていないので自信はないです......。ただしこのシーンでも、黒板だけはサスバトンからの単サスを弱めに入れて、ちゃんとキーとなるものが伝わるよう工夫していました。
ラストシーンの窓は、太陽光が窓から差し込んでそこに顔をだすことが重要なのではないかと思われましたが、かといってシーリングから狙うのは嫌だったのでしょう。プロサスから狙ってました。けれど窓枠の影になりやすいし、悩ましかったですね。緞帳しまるときに緞帳にかかるのも嫌ですし。悩ましいです。


全体的な話はまた別途書きます。今回はこれまで。

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