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2014年3月26日
世田谷パブリックシアターの新しくなった照明たち

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先日、東京・三軒茶屋の劇場、世田谷パブリックシアターが改修工事を行いました。改修工事後の劇場内覧会があって行ってきましたので、照明でおもしろかったところをレポートします。高校演劇では考えないようなところかもしれませんがお付き合いください。

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世田谷パブリックシアターは、国内有数の演劇・舞踏専門劇場で、プロのみなさんもたいへんよく使われています。高校演劇でも東京の私学の大会が行われたりしていますね。また、世田谷区在住の中高生を対象とした作品づくりなども行っていたかと思います。


さて、照明はいろんな面白いところがあったのですが、まずはイーサネットが登場したことでしょう。あれです、LANケーブルです。
以前からムービングライトを代表として、イーサネットを使った照明機材はありました。しかし、そもそも劇場側がそれに対応していないというのがほとんどでした。だから結局DMXで信号を送らなければならなかったのですが、世田谷パブリックシアターは(シアタートラムも)イーサネットを入れたんですね。(そもそもDMX自体を卓から舞台までがんばって引き回さないといけない劇場もたくさんありますが......。)
ちなみに実物を目にしていないのでアレですが、世田谷パブリックシアターは幹線に光ファイバーを採用し、その先にイーサネットをつなぎ、最後にイーサネット/DMX変換ノードでDMXに変えているそうです。(シアタートラムには光ファイバーはなく、イーサネットが幹線。)

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ピントが合ってないですが、照明バトンに吊り下げられていたものの写真です。右にイーサネットケーブルがつながっています。表にあるのがDMXケーブルのクチです。

もちろんDMX機材も使えるわけです。いろんな機材を仕込みやすくなりました。舞台照明の進化をしみじみと感じます。


さて、卓は「マリオネットスター」から、「シューティング機能付調光操作卓」に変わったそうです。きっと高校生もこの劇場に入ったら触ることになりますね! 写真はシアタートラムのものです。

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丸茂のサイト参照
※一応サイトに説明書はありますが、世田谷パブリックシアターのものは何かしらカスタマイズしていると思われます。

なおこの卓は、世田谷パブリックシアター以外では、東京芸術劇場、赤坂ACTシアター、座・高円寺あたりに入ってるそうです。
もはや遺物と化したフロッピーディスクを使わずに済むわけです。そしてこの卓だけでムービングも扱えてしまうのですね。国産メーカーなのによくがんばりました。

ところでチャンネルは、今まで512ch×2=1,024chだったのが、4,096chまでいけるようになったとのこと。本当はイーサネット自体ではもっと増やせるのだけど、丸茂の卓自体が8系統で限界なので、512ch×8=4,096chということのようです。逆に言うと卓を持ち込んでしまえばやりたい放題です。高校演劇でそんなに使うことはまず考えられませんが......。ちなみに、劇場の方に聞いたところ、持ち込み卓でやる公演が全体の半分いかないくらい、とおっしゃってました。シアタートラムでもそのぐらいの割合のようです。

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さて、こちらはピンスポ。ワイヤーがついてました。
地震が起こったときに、重いピンスポが窓を突き破って客席に落下する事故を防ぐための措置だそう。東日本大震災のときに、どこかのホールで実際にそんな事故があったとかなかったとか。こういった防災・安全対策は、今後もいろんな劇場で導入されそうですね。オペには邪魔な気がしますが、本番中は片方だけでもつけていればずいぶん違いそうです。

ついでにおもしろグッズ。
ピンスポに照準がついてました。私は初めて見たんですけど最近は多いんでしょうか?

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国際光器というメーカーのものだそうで、おそらくコレですね

天体望遠鏡に使うものみたいですけどこれはピンスポでもとても便利そう。

というわけでやっぱり世田谷パブリックシアターはいい劇場でした。

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