先日、とある高校演劇関係者の方とお話しをしていて思い出したことがあったので書いてみようと思います。
その方は役者畑を歩んでこられた方だったのですが、ずっと役者だったため、「舞台美術や照明、音響のことがわからない」と言うのです。もっと言えば、「効果的な見せ方や使い方があるかもしれないけど、そこまで発想がいたらない」とも。
それを解決するには、「たくさんお芝居を見て他から盗むのが手っ取り早いですよ」とアドバイスをしてみたものの、自分の過去を思い出すと、べつにお芝居をたくさん見たからといって舞台美術や照明、音響のセンスが劇的に変わるということもありませんでした。なぜなら何が「良い」のか、そもそもわからないから。
そんなとき私がおすすめするのは、他のお芝居を見て「ひたすらメモる」方法です。
(自分自身が高校生時代にこれを実践してました。)
例えば照明なら、私は高校生時代に他校のお芝居を見るとき、最前列の一番端っこに座っていました。
なぜ最前列の一番端っこに座るかというと、照明のいろんなものが見切れるからです。
最前列に座れば一文字幕に隠れたサスペンションライトが見えます。失礼ながら役者の顔を見ずにひたすらどのライトがついてどんな色のフィルターが入っているのかなどを見ていました。
一番端っこに座れば袖幕の後ろのSSが見切れることもあります。これも同じようにどんな色が入っているのかなどを見ていました。
しかし、灯体や色によりそれがどんな効果を醸し出しているのかは、経験がなければ瞬時には理解できません。そこでとりあえず手元のメモ用紙で事実だけをメモります。ひたすらどこにどんな灯体が吊ってあるとか、どんなふうなタイミングで点いたとか、目にしたものを全部メモります。
幕が下りたあとに振り返り、印象的だったこの効果はどうやって出したのだろうか、など考えるときに、自分のメモを見返して、あぁここはこういう灯体の使い方をしていたのか、と噛みしめるのです。
照明だけではなく音響や、役者の動きをメモることで演出にも応用可能な勉強方法だと思います。
純粋にお芝居を楽しもうという視点とは違うのでかなり失礼な話ですが、せっかく向上心を持って見るのであれば、いいやり方なのではないかと思っています。
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