続いて、岐阜農林の「躾」。
●岐阜県立岐阜農林高校「躾 ?モウと暮らした50日」
岐阜農林高校演劇部は、10年ぐらい前に全国大会に出たときから、ずっとタイトルが漢字一文字ですね。その10年ぐらい前のときのタイトルは「実」でした。
確かそのとき以来、中部ブロック代表が国立の舞台に立つことが無かったような気がするので中部ブロック出身の私としては今回の岐阜農林の最優秀賞は勝手に嬉しいです。
さて、今回の岐阜農林の舞台。舞台装置として、下手側にかなりの高さのある二重舞台になっているところがありました。照明的には、その上に役者が立ったときにもしっかり顔が見えるよう、工夫が凝らされていました。その二重舞台の上で演技をするとき用のサスのネライや、SSなどがあったと思います。また、下手奥の方からその舞台セット用にバックからの当たりがあり、立体的に見せていました。
他には、家庭でのシーンの一つめでは、SS(コロガシ)でブルーを入れてみたり、モウが生まれるシーンでSS(コロガシ)で主人公を輝かせてみせたり、なかなか小憎い演出盛りだくさんでした。
ラストシーンでは、下手奥からの明かりが2つ、回転していましたが、ずっと舞台セット用にネライをつけていたタッチ明かりが、じつはスパイラルマシンか何かだったという展開でした。
とても良かったのは、モウを連れていかれてしまう前日のシーンの場転。全体的に、意図的に暗転をせずに意図的に見せる場転をしている岐阜農林ですが、そのシーンだけは、一度きれいに暗転を作っていました。そのとき、台本通りに暗転に出来るはずのところを、まず「地明かりを落とす」、次に「ホリゾントを落とす」という2ステップでの明かりのフェードアウトをしていたのです。瞬間的に主人公のシルエットを見せることで、観客が主人公の気持ちを察するに余りある演出になっていたと思います。敢えてすべてを「見せない」ことによる演出というのが、本来役者を「見せる」ことを目的とする照明で実現したわけです。
あと、幕間インタビューでも出ていましたが音響もきれいでしたね。音の性質にあわせて、どのスピーカーを使うかしっかり工夫されているし、ビンタ(?)のシーンではナマ音が使われていました。
さすが最優秀校ということで(中部代表ということも相まって)とても楽しませていただきました。
岐阜農林高校演劇部の皆さん、おつかれさまでした!
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