恒例の国立劇場の優秀校東京公演を観てきました。
1日目の照明レポートです。
まずは栃木県立栃木高校「塩原町長選挙」から。
●栃木県立栃木高校「塩原町長選挙」
徹底されたチープさと、チープさを気にさせない小気味よりテンポで走りきった1時間のお芝居でした。
舞台技術にあまり頼らず、あくまでコント的な演技のノリを前面に押し出した芝居作りだったようで、照明も至ってオーソドックスなものでした。基本的には、舞台全部をアクティングエリアとし、すべてに明かりを入れるというものです。
演出上の工夫としては、前半シーンでは大黒幕使用、選挙が始まってから(屋外に出てから)はホリゾント幕使用というところでしょうか。
その他、シーン別には、例えばお葬式のシーン。1サスのセンターからアンバーで地明かりを作り、暗めの雰囲気を醸し出していました。全体を均一に見えやすい明かりを作るのではなく、サス明かりを最小限に抑えることでぼやっとした感じの明かりにしていたのだと思われます。またその前のシーンからの場転からこのアンバーのサスは使われており、低いゲージでアンバーを出し、中途半端に場転を見せる手法を採っていました。前半のシーンからのつながりを途切れさせないスムーズな場面転換ですね。
一つ失敗だったのが、「カクテルをなんとかかんとか」というシーンで、おそらくバーの雰囲気っぽいものを作りたかったのでしょうが、ホリゾントを青にして、地明かりを落とし、SSで役者を照らそうとした瞬間的なシーン。残念ながらSSの明かりにうまく役者が入ることが出来ておらず、台詞を喋っている役者がシルエット状態になってしまっていたと思います。これは残念でした。
ただ同様にSSの話で言えば、両陣営が戦って騎馬戦のようになっていたときは、うまく役者たちはネライに入ってました。赤のホリゾントで、地明かり落としてSS、という明かりでしたが、SSのネライはしっかりと騎馬上の役者にも当たっていましたね。
その他は、夜のシーン。地明かりのサス(ナナメ含む)は#78、トーメンタルからたぶん#64、前明かりもおそらく#78か何か(←ちゃんと見ていない)で最も基本的な月明かりの夜の明かりでした。月は下手側のホリゾントに満月(というかただの丸)をエリスポで出していたと思われます。
あとは、後半のシーンで出てきた吊り物あての明かりなど。
基本的に、(繰り返しになりますが)芝居自体が舞台技術に頼ったものではないためオーソドックスな明かりだったと思います。随所にスタンダードさのある明かりでした。
栃木高校演劇部の皆さん、おつかれさまでした!
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