全国大会にご参加されたみなさん、おつかれさまでした。
出演された高校生たちの演技やスタッフワークを見て感動しつつ、講評委員のはっとする視点に心を揺さぶられ、大会運営に携わった高校生たちにも感謝です。
さて今回の大会で使われたホール、サントミューゼのことを書いておきましょう。
裏方やアートマネジメント的視点でいうと、会場となったサントミューゼのことはこれからも記憶にとどめておきたいホールです。近年の全国大会会場の中でも、トップクラスのホールだったと思います。というのも、全国大会は、開催県の中でまずキャパシティ(客席数)がそこそこあるホールの中から逆算して選ばれますが、キャパシティが大きくても設備はどうってことのないホールもたまにあります。バトンが少ないとかそういうやつです。過去の全国大会でも、降らしもの使いたいのに吊るバトンがない、なんていう事例がありました。照明でいうと回路が少ない、とかいうパターンもあります。
その点サントミューゼは新しいということもあり、設備は贅沢にいろいろなことができるホールでした。
照明でいうと、吊り位置がいろいろなところに確保されていて演出自由度が高かったですね。例えば客席側、2階席や3階席の淵にも吊る場所がありました。(世田谷パブリックシアターなど演劇のホールはこういうの多いのですが、古いタイプの多目的ホールにはなかなかありません。)
ホリゾントライトはLEDが入っていましたので超明るかったです。(一般照明をLEDに切り替えるのは進んでいませんが、ホリゾントだけLED化していくというのは昨今の流れです。)
また、お客さんから見ると全然わからないですが、各照明バトンにはDMXだけでなくイーサネットも装備されていて最新の設備でした。(調光卓からの電気信号を送るやつの一種です。LANケーブルがバトンにも張ってると思ってください。)
仕込みもしやすく、照明バトンとブリッジがくっついていて、人が登れるようになっています。
今後、これだけの設備のホールで全国大会が開かれることはしばらくないかもしれません。
そしてアートマネジメント的に言うと、サントミューゼの館長さんは津村卓さんという方で、アートマネジメントや公共ホール業界ではとても有名な方です。小劇場界でも有名な大阪の扇町ミュージアムスクエアにいらっしゃった方ですね。(現在でもOMS戯曲賞というのがありますが、その元になった小劇場です。ハイスクールOMS戯曲賞という高校生向けの賞もあったので関西の方はご存知かも。)津村さんはその後、伊丹のアイホール(ここも演劇人には有名ですね)、びわ湖ホール(ここはでっかいのでオペラなどもやってます)、北九州芸術劇場(ここは自主製作の演劇作品を作って全国巡演なんかもしてますね)などを経て、上田にやってきたというご経歴です。公共ホールというと、「貸館」のイメージもあるかもしれませんが、サントミューゼが自主事業などにも積極的に取り組んでいるのは津村さんのような方がいるからなのだと思います。
そんなわけで、制作側の視点に興味がある方にとってもサントミューゼは要チェックなのでした。
さて、JATETというところが出している冊子に、サントミューゼの裏側のあれこれが書かれた記事がありましたので、最後に紹介しておこうと思います。
「じつはあの劇場、あんなふうだったんだ!」という視点で読むとおもしろいのではないでしょうか。