第58回愛知県大会をちょっとだけ見てきました。
その観照記。
2005年8月13日(土)、愛知県大会4日目。安城市民会館にて。
◆緑高校「めろん」
具象舞台に適合した、たいへんよく計算された明かりでした。
部屋の中を作り込んだ舞台装置がまずあり、そこに普通の地明かりが入り込んでいる、というのが前半の明かり。舞台中央の舞台装置部分のエリアのサスでナマとブルーを入れ、フロントにナマ、シーリングの該当エリア部分にナマとブルーという形でした。それに加え、舞台奥にある簾の向こう(縁側)が若干透けているので、その部分がほんのり見えるように明かりを入れたり、廊下部分が暗くならないように上手からSSを入れていたり、工夫が見られました。
後半、全体が夕暮れっぽくなるのですが、その際にはフロントやシーリングにアンバーを加え、さらにSSで上手からアンバーの明かりを入れていました。前半の日中の表現のときにもSSをナマで入れていたわけですが、それとは使い方が異なり、敢えてアンバーの影が下手のパネルに出るような手法を採ったことで、太陽の位置の低い「夕暮れ」感がしっかり出ていましたね。また、2サス上手からも単サスでアンバーを入れていたようです。これが廊下を狙っていたのか簾の向こうを狙っていたのかが確認出来なかったのですが、SSも単サスも、上手から狙うという同じ光の方向性を確保していたので、矛盾なく見られました。(その意味では、せっかくならフロントのアンバーの上下のゲージにも強弱をつけたら良かったかもしれません。)
◆豊川高校「Leaving school?振り返ることなく、胸をはって?」
オーソドックスな明かりでした。
室内を表現する明かりでしたが、仕込んである灯体全部つけてみよう、という感じで、サスのナマ、ブルー、ナナメのナマ、フロントやシーリングのナマ、ブルー、アンバーすべて点けていたように思います。このようにすべてつければ、明るくなることはなりますが、芝居の内容によってはかえって逆効果になることもあります。この台本の場合、忠実に具象でしっかりとした舞台装置を作り込み、それに合わせた明かりを作るのもありですが、豊川高校は舞台装置を作り込みつつも、「木」の表現なんかに抽象表現も残していたので、それに合わせているのだと考えればフル点灯もありかな、と思いました。
ただ、何も考えずに舞台を明るくしてしまうと、どこまでがアクティングエリアなのかわかりにくいので、その辺は慎重に演出家と相談すべきですね。これは豊川高校に限らず、いろんな学校で見られる現象です。
今回の豊川高校の芝居も、その点でいえば、美術でエリアを区切ってこそ効果の出るセリフもいくつかあったので(用務員のおばさんが聞き耳をたてるところとか)、役者の演技だけに頼らず、照明サイドでも工夫出来たらより演じやすくなるのかな、なんていうふうに思いました。
緑高校を見た直後だったので、そんな感想を抱いてしまったのかもしれません。
今回は、愛知県大会は2本しか見られませんでしたが、愛知県大会では各校上演後に「幕間討論」という、カーテンコール+感想・質問受付のコーナーみたいなのがあって、これを聞くのがとても楽しいです。
今回も、緑高校の幕間討論で照明に関する質問が客席から出ていて、それに緑高校の生徒が答える、という場面もありました。こういうところで意見交換や情報交換が出来るのは、とても良いことですね。