毎年恒例、全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演の季節がやってきました。
毎年この催しは国立劇場で開催されていましたが、国立劇場が改修に入るため、今年は初台の新国立劇場・中劇場で開催されます。
ちなみに国立劇場の改修はずいぶん前から計画されていましたが、オリンピックの職人不足の影響もあって着工が延び延びになり、結局2023年秋に閉館し、改修に入るということになりました。しかし近年の人件費高騰や資材高騰の影響を受けてか、改修(建て替え)事業者が決まらない状況が続いています。5年後には新国立劇場は再開する計画でしたが、果たして本当に5年後に再オープンすることはできるのでしょうか?
さて、そんな国立劇場が使えないあいだであっても、全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演をやりたいということで、代替地に決まったのが新国立劇場の中劇場です。
新国立劇場内には劇場が3つあります。オペラやバレエなどを上演するオペラパレス、演劇や小さな規模のダンスが中心の中劇場、小劇場タイプの演劇がよく上演される小劇場、の3つです。
キャパ的にはオペラパレスが一番大きいので、人をたくさん入れるならオペラパレスなのでしょうが、演劇をオペラパレスでおこなうというのはいかにも大きすぎです。全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演は、もちろん演劇だけではなく伝統芸能である和太鼓や各種芸能の発表もありますが、中劇場での開催は妥当なところでしょう。
新国立劇場の中劇場は、さすが国立の劇場というだけあって、舞台設備がとても贅沢です。
舞台の奥行きはかなりありますし、舞台袖の上手・下手にもそれぞれ舞台と同じサイズの空間がとれるようになっています。つまり、舞台転換のときにまるごと舞台袖や舞台奥に待機しておいたセットを運び入れることができるサイズ感なのです。
奥行きについては、おそらく高校演劇では、ホリゾント幕を通常の位置に設置するでしょうから奥行きは上演中には見えないでしょうが、もしかしたら舞台奥を精一杯つかう演出をする学校があったら、おもしろいかもしれません。
(ちなみに国立劇場のほうでもホリゾント幕を飛ばすとかなりの奥行きがあるのですが。)
なお、新国立劇場中劇場は、客席が扇形になっています。そのため、上手・下手の端の客席に座ると、舞台が完全には見えない(見切れる)ことがあります。新国立劇場主催の演劇を見に行くと、そういった席は販売をしないように(壁で塞ぐ措置を)していることもありますが、果たして全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演ではどうなるでしょうか。良い席で見たい場合には、なるべく中心で見たほうがよいかもしれませんね。
さて、そんな新国立劇場の中劇場ですが、普段新国立劇場に行かない皆さんにぜひ足を運んでいただきたい施設があります。それが、新国立劇場の情報センターです。
新国立劇場の情報センターは、新国立劇場の5Fにあるのですが、演劇やオペラ、バレエなどの舞台芸術に関する資料がたくさん揃っています。戯曲や市販されている書籍だけでなく、公演プログラム、はたまた公演映像なども見られたかと思います。劇場に併設するこういった施設は、文化の殿堂としてもとても重要だと思いますが、演劇を見に来る人の数に比べて情報センターの利用者はとても少ないので、ぜひ使い倒していただきたいです。