2012/8/12、富山県富山市の富山県民会館にて。
●青森県立青森中央「もしイタ?もし高校野球の女子マネージャーが青森の『イタコ』を呼んだら」
劇中、一切照明の変化の無いお芝居でした。大黒幕に舞台装置も一切なし、音響も使わなず、衣装も特段必要とせず、照明は地明かりのみ。地明かりは、シーリング、フロント、サス、SSの生明かりです。場所を選ばない演劇です。こと演劇というと、照明や音響や舞台装置などを使うのが当たり前のように思い、高校演劇の大会もホールの舞台でやるのがさも当然のように思ってしまうこともありますが、シェイクスピアの時代に遡れば照明はじめ特別なものなど何も無くて、ただ広場に人が集まり演じることで演劇が成立したんだということを再認識させられました。
さてそうはいっても富山県民会館のステージを使ってお芝居をするスタイルがこの大会。とりあえず客電が消え、緞帳が開いてお芝居が始まるというところだけはルールに則っていました。音響もないものだから、まず舞台上で役者の声が出るのをきっかけに、そのあと緞帳があがります。緞帳はいろいろな音をさえぎるものですが、そんな機能を圧倒的に排除する役者の声量と気合を感じました。照明的には、緞帳が開くまでは、舞台上の明かりのみで、緞帳が開くと前明かりが入るというスタイルでした。特に照明に頼りもしないですし、一番自然な方法でしょう。
照明視点では、いちいち明かりがどうの灯体がどうのと指摘しまいがちですが、演劇が照明に頼らなくても成立するという意味も含め、多くの照明家に見て考えてほしい作品です。
●大谷「はみーご!」
明かりとしてはそんなに凝ったことはしていませんでしたが、おそらくパーライトを6灯ほど使い、ライトブルーを入れたバックサス気味の明かりが特徴的でした。日常の地明かりシーンとの対比で、ライトブルーで差し込むバックサスは、印象的だったと思います。
それからいろいろな個所でフェーダー操作がうまかったですね。とてもきれいなフェードアウトを見せてくれました。じんわりとしたフェーダー操作で、うまく余韻を残せていたと思います。
途中、ライトブルーのバックサスのシーンで、上手3SUSあたりから下手に向かってねらわれた明かりが出ていたのですが、何の用途かよくわかりませんでした。ミスでしょうか?また、下手の二袖後ろあたりに置いていたSSのネライが、上手の奥の袖(大黒幕ひとつまえの袖)にかかっていたように記憶しています。黒い袖幕なのでそこまで気にならないですが、細かいところも気にしたいところですね。
エンディングは下手のジョウロにナマの単サス、続いてブルーの単サスが差し込むという二段階の表現でした。一人台詞のシーンのネライが1シーリングからだけかなぁという気がしていたのですが、1SUSを使わなかったのはジョウロネライで使いたいという回路の事情でしょうか?
というわけで全国大会関係者の皆さんおつかれさまでした!